

2008年5月24日付 中国新聞朝刊に掲載
『 踏ん張ってます まちの顔 』
呉森沢ホテル(呉市本町)
会長 森沢嗣起さん(60)
地物を追求 味で勝負
明治期に創業し、戦前まで海軍の街として栄えた呉市を見詰めてきた。
今は、大和ミュージアムで全国区となった観光地の老舗穂ホテルとして、呉の味を発信し続ける。
「誠心誠意やらせてもらいます」。三代目、オーナーシェフのこだわり。「大もうけしなくていい」が口癖だ。営業を担う社長で淑江さん(52)は「ホテルが大きくならないのは主人の人の良さが影響してます」。夫婦で温かみのある経営を支える。
平たんな道ばかりではなかった。1980年代のバブル景気で、市内でもホテルや結婚式場が増え始めた。競争力をつけるため92年に土地を拡張。部屋数を増やし、式場を充実させた近代的な施設へ建て替えた。
しかし、バブルがはじけ見通しは崩れた。多額の設備投資は長年、経営に影を落とした。「味で勝負するしかない」。5年前、厨房に入り社長を退いた。陣頭指揮しながら地産地消の素材にこだわり、手作りを徹底した。
大和ブーム到来ー。観光客のニーズに応えるため呉名物の肉じゃがやカレーをレトルト化して販売。人気商品にした。「観光客も大事。ただつらいときに支え続けてくれた地元の人に恩返しをしたい」。今は連日、学校や同窓会、各種団体の予約が絶えない。
長男一邦さん(20)は大学でホテル学を専攻し、四代目となる準備を着々と進めている。「三代目でつぶすわけにはいかない」。伝統の灯を守るおやじの闘いが続いている。
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